大麦粉の需要拡大に向けた食味試験・調査の成果報告

○ 大麦には、食物繊維がたくさん含まれています。大麦は皮をむいて加工(精麦)したものでも白米に比べて約16倍の食物繊維を含んでいます。食物繊維は、腸内環境の改善や血糖値の急激な上昇を抑制する等の働きがあります。

(注)本㏋「大麦を知る」の“精麦の効能”参照 https://zenbakuren.or.jp/study/effect.html

○ 実際に大麦を精麦加工した押麦や丸麦(もち麦)等は、スーパー等で販売されており、ごはんに混ぜて「麦ごはん」として食べたことはある方もいらっしゃるかと思います。また、コンビニエンスストアには「もち麦入りおにぎり」もありますし、外食などでも麦ごはんにとろろをかけた「麦とろ」等のメニューも見かけます。このような精麦製品を普段の食事に取り入れることで、皆様の健康に役立ちます。

○ この他、大麦の皮をむいて『粉』にした「大麦粉」を材料とした食品もあります。全麦連では特に大麦特有のにおいや色見を工夫して、よりおいしく食べられないかと考えていました。

このたび東京家政大学様、(独)農研機構様のご協力を得て、大麦の特徴を踏まえた、大麦粉のおいしい試作品ができましたので、料理のレパートリーの一つとして是非、お試しください。

○ 今回の試作にあたっては、粒度(※)の違うA社の大麦粉3製品を使用しています。
具体的には、①平均粒度18.6μm(マイクロメートル)(微細粉)、②同21.2μm(汎用粉)、③同124.4μm(粗挽き粉)の3種類です。以下、メニューごとに一番おいしく出来上がる粒度の製品を使用していますので、参考にして下さい。

(※)『粒度』とは、粉末の粒の長さのことです。1μm(マイクロメートル)は、1mmの1,000分の1。

ニョッキ

団子状のパスタの一種。もとはじゃがいもと小麦粉との組合せで作るイタリア料理です。

<材料> 40個分

・大麦粉(うるち性/上記③(粗挽き粉)を使用)・・・・・100g

・じゃがいも(男爵)・・・・・100g

・卵・・・・・・・・・・・・・・・・・32g

・水(熱湯)・・・・・・・・・・・64g

作り方

  • 1じゃがいもを茹で、熱いうちに裏ごししておく。
  • 2ふるった大麦粉に熱湯を加えて混ぜる。
  • 3溶き卵を加え、切るように混ぜる。
  • 431のじゃがいもを加え、均一になるように混ぜる。このとき、練らないように注意する。
  • 5成形(目安:6g/個)し、沸騰した湯の中で、2分30秒程度茹でる。
特徴

● ニョッキでは粗挽きの大麦粉を使用すると、大麦粉のおいしさを一層味わえるニョッキに仕上がります。

● 大麦粉をじゃがいもと同量用いることにより、弾力があり歯切れの良い食感に仕上がります。

● ホワイトソースやトマトソースなどとの相性も良く、お好きなソースと併せてお召し上がりください。

カヌレ

フランスの伝統菓子の1つです。バニラとラム酒の甘く豊かな香りが特徴です。

<材料> 17個分(60mL容量の型を使用した場合)

・麦粉(うるち性/上記②(汎用粉)を使用、①(微細粉)でも問題なし)・・・・・100g

・上白糖・・・・・・・115g

・卵・・・・・・・・・・・100g

・牛乳・・・・・・・・・400g

・バター・・・・・・・・20g

・バニラオイル・・・1g

・ラム酒・・・・・・・・10g

・はちみつ・・・・・・30g

作り方

  • 1牛乳とバターを鍋に入れて撹拌しながら火にかける。バターが溶けたら、70℃程度まで冷ましておく。
  • 2ふるった大麦粉と上白糖を混ぜ、ここに溶き卵を加えて撹拌する。
  • 321を3回に分けて加え、その都度撹拌する。
  • 4はちみつ・ラム酒・バニラオイルを加えてさらに撹拌後、型に分注(型の7~8割程度)する。
  • 5230℃に予熱したオーブンで15分焼成後、そのままアルミホイルをかけて200℃・35分で再度焼成する。
特徴

● 小麦粉のカヌレと違い、大麦粉を使用すれば生地を一晩寝かせる操作が不要となり、調理時間の短縮ができます!

● 外側はツヤやカリッとした食感はなく、内側はもちっと柔らかい食感を楽しむことができます。

シフォンケーキ

<材料> 直径17㎝サイズ1台分
●卵黄生地

・大麦粉(うるち性/写真は上記①(微細粉)を使用、②(汎用粉)でも問題なし)・・・・・80g

・卵黄(卵4個分)・・・・・・・80g

・牛乳(または豆乳)・・・・・80g

・植物油・・・・・・・・・・・・・64g

●メレンゲ

・卵白(卵4.5個分)・・・・・160g

・グラニュー糖・・・・・・・・75g

作り方

大麦シフォンケーキマニュアル (大麦シフォンケーキ:農研機構2019.6より転載。)
を参照してください。

特徴

● 切った時の断面は、少しグリーンがかったような色ですが、味は紅茶のような風味があります。

● 食感はしっとりして、余韻のある味わいです。

大麦粉を使用した天ぷら

写真:東京家政大学

作り方

  • 1大麦粉と水(大麦粉重量の2.5~3倍程度)を合わせて撹拌する。
  • 21に食材をくぐらせて揚げる。
特徴

● 大麦粉を使用すれば粉と水だけで簡単にサクサクとした食感に仕上がります。

● 揚げ玉ができにくいので、衣を無駄なく使うことができます。