厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると1日の食物繊維の必要量が目標量として設定されており、18歳以上の女性は18g/日以上、男性は21g/日以上と示されています。しかし、令和元年国民健康・栄養調査結果の概要によると日本人の1日当たりの食物繊維摂取量は、20歳から59歳の男女とも目標量に達していません。
精麦には、「食物繊維」が、精白米の約16倍も含まれており、お米に大麦を3割入れた大麦ごはんを1日2杯食べることによって食物繊維4gの摂取が可能になり、不足分を補うことができます。
成分名 | 押麦 | 米粒麦 | 七分つき押麦 | 大麦麺※ |
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エネルギー(kcal) | 329 | 333 | 343 | 343 |
水分(g) | 12.7 | 14.0 | 14.0 | 14.0 |
たんぱく質(g) | 6.7 | 7.0 | 10.9 | 12.9 |
脂質 (g) | 1.5 | 2.1 | 2.1 | 1.7 |
炭水化物 (g) | 78.3 | 76.2 | 72.1 | 68.0 |
灰分 (g) | 0.7 | 0.7 | 0.9 | 3.4 |
ナトリウム (mg) | 2 | 2 | 2 | 1,100 |
カリウム (mg) | 210 | 170 | 220 | 240 |
カルシウム (mg) | 21 | 17 | 23 | 27 |
マグネシウム (mg) | 40 | 25 | 46 | 63 |
リン (mg) | 160 | 140 | 180 | 200 |
鉄 (mg) | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 2.1 |
亜鉛 (mg) | 1.1 | 1.2 | 1.4 | 1.5 |
銅 (mg) | 0.22 | 0.37 | 0.32 | 0.33 |
マンガン (mg) | 0.86 | − | 0.85 | 0.90 |
ビタミン | ||||
E (mg) | 0.1 | 0.1 | 0.3 | − |
B1(mg) | 0.11 | 0.19 | 0.22 | 0.21 |
B2(mg) | 0.03 | 0.05 | 0.07 | 0.04 |
ナイアシン(mg) | 3.4 | 2.3 | 3.2 | 3.5 |
B6(mg) | 0.13 | 0.19 | 0.14 | 0.09 |
葉酸(µg) | 10 | 10 | 17 | 19 |
パントテン酸(mg) | 0.40 | 0.64 | 0.43 | 0.64 |
食物繊維 (g) | ||||
水溶性 | 4.3 | 6.0 | 6.3 | 3.6 |
不溶性 | 3.6 | 2.7 | 4.0 | 2.7 |
総量 | 7.9 | 8.7 | 10.3 | 6.3 |
※大麦麺:大麦粉50%・小麦粉50%
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
食物繊維は、「人の消化酵素で消化できない食品中の難消化性成分」の総称です。かつては栄養素ではなく、不要なものと考えられていましたが、食物繊維のさまざまな生理的作用が科学的に解明されるにつれ、「第6の栄養素」として見直されるようになりました。
食物繊維は大きくわけると、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があり、それぞれ異なった働きをしています。
体内でほとんど変化せずに腸に達し、腸内の食品を取り込んで便の量を増やし便通をよくします。このことで便の大腸通過時間が短くなり、有害物質をスムーズに排出するので大腸疾患の予防にも力を発揮します。
体内で水分を吸収してふくらみ、腸の食品と混ざり合いゆっくり進み、消化吸収を緩めます。
この働きで血糖値の急激な上昇を抑え、血中コレステロールが低下するため、糖尿病や高脂血症などの予防や治療にも有効です。
大麦に含まれるβ‐グルカンは、水溶性食物繊維のひとつで高脂血症や糖尿病の予防効果があることが、国内外の研究によって明らかになっています。β‐グルカンは、大麦穀粒の中心部分に多く含まれるので、大麦を精麦製品や大麦粉に加工してもその効果が変わることはありません。